シブマガ Vol.2 掲載 | インターネットおじさん 実録インタビュー - おれが最先端のメディアアートだから!-

文=KEITA SAITO + EDIT451 撮影=YAVAO / 小池将樹

2014.05.15


全身白タイツ姿で「おれが最先端のメディアアートだ!」と言い張るこの男は一体何者なのか――。この白タイツ男、インターネットおじさんと呼ばれており、「リアルRT」「リアルフォロー」などと称して誰かが言ったことを何度となく繰り返し叫ぶというパフォーマンスを「文化庁メディア芸術祭」やドイツ・ベルリンで開催されたメディアアートの祭典「トランスメディアアーレ」で行われた「インターネットヤミ市 inベルリン」などで行っている。実はすごい人……なのか!? 今回、この渋家メンバー・としくにことインターネットおじさんを徹底的に解剖し、誕生秘話を聞いてみようと思う。もしかしたらこの男、本当に最先端のメディアアートなのかもしれない!?



■ インターネットおじさんの主な活動

[ 創世記「野良VJ」経歴 ]

・2012.05「REPUBLIC VOL.9 - 映像作家100人 -」/WOMB 

・2012.12「REPUBLIC VOL.10 - THE FINAL -」/WOMB 

[ 現在「インターネットおじさん」経歴 ] 

・2012.11「インターネットヤミ市」/旧東京電機大学校舎 

・2013.02「第17回 文化庁メディア芸術祭」/国立新美術館 

・2013.06「インターネットヤミ市2」/カイブツ社 

・2014.02「インターネットヤミ市 in ベルリン」/トランスメディアーレ2014 

・2014.05「インターネットおじさんLINEスタンプ」発売予定 



全身白タイツで叫んでたら

「文化庁メディア芸術祭」に出れた 


―― インターネットおじさんというのは「リアルインターネット」と称して「リアルRT」などを行うそうですが、これは、一体どんなパフォーマンスなんですか?


「要はインターネットをリアルでやるのがインターネットおじさん。インターネットおじさんは、出来る限りインターネットをリアルに落とし込む方法っていうのを勝手に考えてるのね。『リアルRT』は基本的にリアルで頼まれたことを、リアルでつぶやく。Twitterって自分で打った文字がWEB上でつぶやかれて、RTは人がつぶやいたのを、自分がつぶやいたかのようにつぶやくわけじゃない、だから『リアルRT』は『疲れたーって言って』って頼まれると『疲れたー』って代わりに言うんだよね」


―― 経歴では、インターネットに関するあらゆるものを売買する「インターネットヤミ市」というイベントがはじめての活動ですが、どういうことを頼まれるんですか?


「ベタなのは、うちのブースを盛り上げてくれって『このブース来てください!』って叫ぶ系ので、『このブースがおもしろいぞー。広告です!』って叫んだりとかね。あと、次に開催された『インターネットヤミ市2』では、数分毎に定期的に叫ぶっていうのを『bot登録』って言って、botする時間の間隔で値段を設定して、頼まれたら、じゃあ、何分置きって、自分の携帯のアラームをセットして、指定された言葉を『botなんで失礼します!』ってその場で叫んでた。でも、なかには、辛かったのもあって、頼んできたその本人に『××さんのことが大好きです』って名前を言わされるのはひどかった。1分に1回『僕は××さんのことが大好きです!』って依頼人の名前を叫ぶっていうね。ルール作っちゃったから『わかりました……』って言うけど、死ぬかと思った。まあ、叫んでるとき以外は、基本的に歩いてるよ。インターネットなんで」


―― 会場の反応はどうでしたか?


「良かったね。みんなインターネットに関係するものを持ってきて売買してるなか、1人だけ何も持たずに全身白タイツで『おれはインターネットおじさんだ! メディアアートだ!』って言ってたから、多分、それが、よっぽど変だったんだと思う。でも、最初は訳が分からなすぎたのか頼みにくる人がいなくて、『フォローした!』って言って、後ろから追っかけて行って、あげく、その人が言葉を喋ったら『RTだ!』って勝手に大声で叫んでた」


―― 例えば「もうついて来ないで!」って言われたら「ついて来ないで!」って叫んで、それでも、ついて行くんですか?


「いや、『ついて来ないで!』って言われたときは、ブロックされたんだなって思っていなくなります」


―― どのくらいつぶやいたんですか?


「botは1時間って枠でやってたけど、1人だけじゃないの。複数から受けてるから5分と10分と30分とかって頼まれると、ものすごい回数を叫ぶことになって、最終的には2分に1回くらい叫んでたね。翌日、のどが枯れて、声が出なくなった。でも、結構、儲かったよ。6,000円くらい」


―― その後、何故、「文化庁メディア芸術祭」に参加できたんですか?


「『文化庁メディア芸術祭』は、メディアアートのフェスっていうか、いろんなメディアアートを展示する祭典みたいなもんじゃない。そこで『インターネットヤミ市』を主宰しているIDPWの『どうでもいいね!ボタン』っていうFacebookの『いいね!ボタン』を一気に全部押すことが出来る作品がエンターテインメント部門の新人賞になったんですよ。そのとき『どうでもいいね!ボタン』の説明係をやらせてもらいました」


―― 「どうでもいいね!ボタン」を説明するのに、どうして、インターネットおじさんが必要なんですか?


「なんかおもしろいことがしたいって、とにかく喋れる人がほしかったみたい。インターネットおじさんは『インターネットヤミ市』のなかでも『どうでもいいね!ボタン』の説明をやったし、イベント中にMCとかもやってたから」


―― インターネットおじさんが説明係になるというのは、WEBサイトのアバウト画面をリアルでやるということですか?


「そうだね。インターネットそのものだからやることはいろいろと変化する。メディアアートって、iPhoneをいじって直接反応するとかインタラクティブなものが多いけど、いちばんそういうことがあるのって人間じゃん。そういうメディアアートの枠組みを壊す動きをしてるから、おもしろいっていう。IDPWは多分その辺をおもしろがってくれてるんだろうなと思う」


――「文化庁メディア芸術祭」は、簡単に参加できる場所じゃないですが、どういう気持ちでしたか?


「おれ、あんますごいっていう実感無いんだよね。国立新美術館っていう場所は、すごいところでやらせてもらってるんだなって自覚するけど、おれ、もともとメディア芸術ってものを全然知らないの。だから『きみはこんな祭典でやったんだよ!』って言われてもあんまりピンとこないんだよね。だからこそ好き勝手やらせてもらっていて、その場がすごいってのは意識するけど、それもやってるときは忘れるようにしてる。そういうパフォーマンスだと思ってるから気にしてはいけないの。ここはすごい場所だからちゃんとしなきゃとかそんなの気にしないで、せいぜい気にするのは放送コードにひっかかる発言をしないように気をつけるくらいだね。基本的に『やりたい放題やってくれ』って言われてるし、それは、任せてくださいってなもんで、ほかは特になんにもないね」


―― 恥ずかしいとか緊張するなどといった気持ちはないんですか?


「それはない。おれはもともと演劇人だもん。役だからインターネットおじさんは恥ずかしくないっていう感じ」


――「どうでもいいね!ボタン」の説明係とは、具体的に何をしたんですか?


「おれは本当に説明だけ。4日間あって、1日4,5時間、1回10分まわしとかで、余裕でノンストップでやってた。おれが疲れて台詞を噛むようになったらちょっと休憩みたいな形でやってたから多分全部で40回、50 回くらいまわしたと思う」 


―― 会場でのお客さんの反応はどうでしたか?


「まわりは常に人だかりが出来ていたし、まあ、めずらしそうだったよ。メディア芸術祭で、こんなパフォーマンスをするってのは、あんまりないだろうからね」


―― 実際に「どうでもいいね!ボタン」の説明を聞かせてください。


「Facebookの『いいね!』って、人間関係を維持するためとか、付き合いで押してませんか? ということで、『どうでもいいね!ボタン』は、Facebookにいろんな投稿が出ているときにボタンを押すと、すべて の投稿に『いいね!』が押される。全部『いいね!』って押されるから、いいよね! いいよね! はいはい、全部、いいよね! もはやどうでもいいよね! っていうアプリというか作品なわけです」 


―― 「どうでもいいね!ボタン」の説明について、IDPWからはどんな指示をうけましたか?


「基本的な機能のこと以外はあんまり説明されてないですね。でも、なんか遊び心を大事にしているっていう話をトークイベントで言ってました」



インターネットおじさんを

考えたのは俺ではない! 


―― インターネットおじさんは「おれが最先端のメディアアートだ!」と言い張ってますが、本当にアートだと思っているですか?


「どうだろうね。インターネットおじさんって、おれがパフォーマンスをしてるけど、おれが作った作品ってわけじゃないんだよね。インターネットおじさんが活動をはじめた『インターネットヤミ市』のコンセプトのなかに、インターネットが絡んでいればなんでもいいっていうのがあって、IDPWがイベントの飛び道具として、その場でインターネットぽいパフォーマンスが出来そうな人いませんか、って探していて、おれはもともと演劇をやってたし、多分そんなことやるのおれしかいなかったから、やってみませんか、って誘われてたんだよね。インターネットおじさんの『インターネットをリアルに落とし込みましょう』という設定のなかで自分でもネタを考えたりってことはするけど、多分根本的なところはIDPWの遊び心だったり、そういうものからインターネットおじさんは生まれているから、おれは役者のつもり。だから、おれ自身はアートなのかとかは深く考えてないね」


―― 「IDPWの遊び心」とは、どういうものだと考えていますか?


「IDPWが『どうでもいいね!ボタン』について話したときの『遊び心を大事にしている』ってのは、ほかの作品にも共通していると思っていて、IDPWの作品って、実は技術的に目を見張るものってのはあんまりなくて、例えばiPhoneにいっぱい迷惑メールがくるように設定して、毎日鳴り続けてるiPhoneを飾っておくとか、そういう作品ってのが『遊び心』なのかなと。だから別に新しい技術を開発して、それを作品にしよう、みたいな話じゃないと思うの。IDPWはメディアアートというかアートっていうものが何かを深く考えているだろうから、インターネットおじさんを提案したのには必然性があるというか、理由があってやったのかなって思うけど、おれはもの作りをする人が多いなかで、パフォーマンスをするっていうありえない状況が珍しがられているなと思ってるだけ」


―― IDPWからどういう理由でこれをやるのかという説明はされなかったですか?


「なかったな。でも、『ふざけて! 好きなことやっていいよ!』って感じはすごくあったな。おれが疑問を感じたら答えてくれると思うけど、おれはこれをやることにそんなに疑問を感じていないし、とてもおもしろいと思ってる。もともと設定に合わせて、自分が何かを行うことをすごいおもしろいと思っているし、IDPWの『どうでもいいね!ボタン』の説明係をしたときもそうだけど、パフォーマンスをする上であんまり接触したことのないメディアとか、接触したことのないジャンルと自分のパフォーマンスが接触する機会ってのはおもしろいよね。そういう意味ではやりたくないなって思ったことはないし、やってて本当におもしろいね」


―― そもそも、どうやってIDPWと知り合ってインターネットおじさんに誘われることになったんですか?


「おれがIDPWとはじめて会ったのは、『REPUBLIC VOL.9 - 映像作家100人-』っていうイベントで、これに、渋家と『インターネットヤミ市』の主催者のIDPWの一員であるexonemzoが出演していて一緒だったの。おれも渋家のメンバーとして参加していて、exonemoともっと集団でいろいろやりたいって話になって、そのあと、一緒に「REPUBLIC VOL.10 - THE FINAL -」に出演したり、それと同じぐらいのときにexonemoの2人がIDPWに参加して、IDPWが『インターネットヤミ市』っていうイベントをやるからそれにも参加しませんかと言われて、さっきのおもしろいMCみたいなのできる人いませんかって、おれが誘われたってのが流れだね」


―― 渋家とexonemoとの出会いは、このときの「REPUBLIC」が初めてですか? 


「もともとの渋家とexonemoの出会いは、2011年8月に開催されたMaltine Recordsの主催イベント『もうなんかやけくそでサマーオブラブ』っていうイベントで、ここで渋家は野良VJっていう肩にプロジェクターを担いで映像を投射するっていうのをやってたの。そこにexonemoが遊びにきていて、野良VJの存在を知ったことがきっかけでiPhoneでVJができるアプリ『VideoBomber』を開発することになって、その制作のお手伝いを渋家メンバーのYAVAOとayafujiのメディアアートユニット・huezがやることになって、その流れ で、じゃあ『VideoBomber』を使って、exonemoと渋家でイベントに出演しましょうよ、ってなって実現したのが『REPUBLIC VOL.9 - 映像作家100人 -』だったんだよね」 


―― この「野良VJ」とは、どういったことをするのですか?


「『もうなんかやけくそでサマーオブラブ』での野良VJは、決まったコンセントで端っこの小ちゃいスクリーンでやることになってたんだけど、YAVAOが調子にのって、持って来たプロジェクターをいきなりメインスクリーンに投写したんだよ。何も言わずに。要はそのハック感というか、多分それにexonemoはぐっときたんだろうなと思う。『VideoBomber』は、VJの操作をiPhoneできるようにして、そういうハック感を具現化してくれたっていうものなんだよね」


―― 「VideoBomber」の特色をもう少し詳しく教えてください。


「VJはもともと機材がたくさん必要で、パソコンだけでもソフト入れたりとかミニコントローラー入れたりしなくちゃいけなくて簡単にできないところを、iPhoneたった一発でいけるっていうのが結構画期的なんだよね」


―― 「VideoBomber」は、昨年の「文化庁メディア芸術祭」で、exonemo/渋家/Maltine Records名義で「審査委員会推薦作品」に選出されましたが、何故、共同名義なのですか?


「Maltine Recordsの主催イベントがきっかけで開発がはじまったことと、さっきの『REPUBLIC VOL.9 - 映像作家100人 -』『REPUBLIC VOL.10 - THE FINAL -』で、exonemoと渋家とMaltine Recordsは、『VideoBomber』を使って共演したからなんだけど、これはもうexonemoの好意ですね。共演したとき、渋家は『VideoBomber』の実行部隊で、テントみたいな7m×7mの布をフロアに作って、観客の頭上に大きく括って、その上とか下から『VideoBomber』を使ってプロジェクターで映像をあてたりして、Maltine RecordsはtomadがDJをやって、っていうパフォーマンスをやったの」 


―― その後、インターネットおじさんに誘われたとき、すでにIDPWから「リアルRT」「リアルフォロー」などの提案はあったんですか?


「まずはMCみたいなことを出来る人だれかいませんかってYAVAOがIDPWに言われて、だったらおれがいいんじゃないかという話になって、YAVAOとIDPWとおれとで話をして、『インターネットヤミ市』で、うまくおれを出すには何がいいかなっていう話になったんだよね。それで『インターネットヤミ市』のMCだからインターネットおじさんってアイディアが出てきた」


―― Twitterを絡ませるというアイデアは誰が発案したんですか?


「それはもうおれの大喜利。インターネットおじさんっていうからには、なにかしらインターネットを表現しないといけない。じゃあ、後ろから人について行って『RTだ!』ってその人が言ったことを叫んだり、『Facebookだ!』って言ってその人が喋ったことに対して『いいね!』って突然叫んだり、『広告だ!』って誰かのブースの前で大騒ぎをしたりとかね」


―― IDPWからこういう風にやってほしいという要望はなにかなかったですか? 


「最初の打ち合わせで『RTとかやってよ』っていうのはもらったかな。でも、それだけで、その後のbotとかは、おれが勝手にTwitterとかを見てやったことだから、ほとんどは自分の思いつきでやってる。さっきの役者の話でいえば、設定をもらって、あとは設定に準じて自分で自発的に演じるてるんだよね」



ポスト・インターネット

それは、人間なんだよね 


―― 現在までのインターネットおじさんの主な活動は「インターネットヤミ市」「文化庁メディア芸術祭」、それに今年2月にドイツで開催された「トランスメディアーレ2014」への参加ですが、今後の予定は何かありますか?


「次に「インターネットヤミ市』を開催するときは、ぜひぜひって言われてるからそのときは、それが海外とか国内どこでも、全然行きたいから行こうかなって。まあ、インターネットなので当然ですね」


―― インターネットおじさんのパフォーマンスとして、今後、こんなことをやろうというのはありますか?


「ドイツに行くときに渡航費をクラウドファンディングして、そのリターンとして、指定された画像を体にベタベタと貼りつける『リアル・バナー』、インターネットおじさんに同行する撮影スタッフも白タイツを着る『リアル・コピー・アンド・ペースト』、ベルリンでホットな映像や本を買って届ける『リアル・カリビアンコム』とかいろいろやったからいまはないかな。でも、インターネットに関わることだったらなんでもやるっていうのがインターネットおじさんのキャラクターだから、なんでもやるよっていうのが基本。要は全部オッケーなの」


―― インターネットおじさんが自発的に何かをやることもあり得るんですか?


「やってもいいんだけど、インターネットってやる人間がいて、インターネットがあると思ってて、インターネットに意識は無いじゃない、だから自発的にサービスを提供するってのはないわけで、コンピューターに意識があったら怖い。だから、これはなんとなくおれが思うインターネットおじさんのキャラクター性なんだけど、自発的に何かをやる可能性は低いかな」


―― では、例えば「リアルインターネット選挙解禁」というのは、どうでしょうか。この人に1票を入れてくださいと会いにいったり、ひとりひとりにご用聞きみたいに投票先を聞いて回ったりします。


「おもしろいと思うよ。政治じゃなくて、どこかの組織が、何か代表を決めるとき、意見を聞き回って最終的に開票もしたりとかね。ただし、絶対インターネット上では結果を言わない。結果は1人1人にこうなりましたよって、また、報告に行くみたいな。インターネットおじさんのおもしろさって、インターネットがある前から行われてたけど、インターネットが入って1回無くなったというかインターネットで全部できるようになったことをあえてもう1回『リアルインターネットだ!』って言ってやることと、人間がやることでちょっと規模が小さくなることだと思うんだよね。メールだってもともとは文通とか手紙でしょ、手紙に絵を描くのも『リアル絵文字だ!』っていうとニュアンスが変わるじゃん。あとおれが書くことがおもしろいよね。手紙だったら本当は本人が書くはずなのに、インターネットだからおれが手で書いて送るっていうのがおもしろいなと」


―― ほかには、例えばインターネットおじさんが「リアルウィキリークス」をやったらどうなりますか?


「それは、実際やったら殺されちゃう可能性もあるから、そこは、ちょいミニマムにして、やるんだったら『インターネットヤミ市』にいる人たちの秘密をばーっと勝手に集めて叫ぶとかかな。それで、それを止めたければ、おれをエアガンで撃てばいいって言って銃を渡しておくとかね。おれはそれから逃げるとか。チクり屋というか、ゴシップ野郎だよね」


―― やはり規模が小さくなるんですね。


「やっぱり人間だから規模感は小さくなってしょぼくなるっていうところがある種のパロディ要素になるんだろうね。やっぱ、なんかインターネットってすごい壮大じゃん。世界中の人からこんなに情報とかを集めることが可能っていうのも、人間1人になると1人から集めるだけでも大変じゃん。リークも1人1人から話を聞いてってなるわけ、数万なんてことを目指したら死ぬほど大変じゃん」


―― インターネットは、現実より新しさやおもしろさがあると思いますか?


「そういうことは全く思わないな。インターネットってインフラを広めようってとき、新しいとかおもしろいっていうキャチコピーでみんなに布教しただけだと思うの。インターネットってのは、新しい技術だからおもしろいんだよみたいな。最近、インターネットをやる人のなかには、ひしひしと感じてる人も多いと思うけど、新しい技術が必ずしもおもしろいっていうのは嘘だよね。実際、みんながインターネットを使う様になって便利になったし、いろいろ新しいサービスも出てきたからそれはいいんだけど、技術は技術だからね。新しい技術って、一見おもしろく見えるんだけど、別にそんなことなくって、なんかある種ネタばらししちゃうのがインターネットおじさんの要素としてあると思う。インターネットってだけでおもしろいって嘘だよね、みたいな。おれはインターネットはただの道具だと思ってるな。おもちゃだね」


―― としくに個人としては、インターネットが嫌いなんですか?


「インターネットを便利以上に思ったことは一度もないな。今だったらTumblrとかInstagramとか、いろんなものがいっぱいあって、流行ったり廃れたりっていうのが繰り返されてるけど、実はおれがインターネットをちゃんと自分の道具として使うようになったのはここ1、2年の話で、それまで、インターネットをちゃんと触ったことさえなかったんだよ。ほんと、ネットカフェでエロサイト見るくらい。携帯もずっとプリペイドケータイで、iモードとかさえ使ったことなかった。そういう歴史をすっ飛ばして、最近、iPhoneに飛んできた人だから、一気に便利さが、ぐわーっとは来たんだけど、もともと道具だと思ってたから、やっぱり、ただ道具だとしか思わなくて、便利以外のなにものでもないかな。結局、インターネットがあるからといって悩みとか問題はほとんど解決しないし、なんかある種の人間味とかが希薄じゃん。やっぱり、スカイプで話すより実際に酒飲んで喋ったほうが楽しいよね、みたいなのがあるな」


―― 何故、便利さよりも、人付き合いに労力を費やすのですか?


「それは、人間が1番おもしろいからでしょ。人間が1番変わるし、1番変わらない。すげー変わるやつは一瞬で変わるし、変わんないやつは微動だにしない。喋ってるとき、お互いにこうしたほうがいいんじゃないっていう会話を何度しても変わんない人間性や関係があるし、だけど、変わったときの嬉しさとか、良くなったなって、おれのなかで思ったときは嬉しさがあるんだよね。そういう人間自体の性質ってのは、いつまでたってもわからないからね。それがすごいおもしろいんだよね。それをおもしろがることは、ずっとやめられないだろうね」








Keita Saito Official

美術家/文化事業家/渋家株式会社取締役 齋藤恵汰